就労ビザの申請の流れや注意点をチェック

2023/12/20

日本の労働人口が徐々減っており、人手不足が厳しくなってきたため、外国人雇用の正社員雇用に注目が集まっています。

外国人の正社員を雇用すると、就労ビザの取得が必要となります。

しかし、就労ビザの申請の手続きが煩雑なため、どこから始まるのがわからない人も多くいます。

たしかに、採用の状況と企業の規模によって提出すべき書類と資料が違ったり、審査の期間も異なります。

書類に不備がある場合は、再提出しないといけないため、本来より時間がかかってしまいます。

今回は就労ビザ申請の流れや注意点を紹介していきますので、しっかりとチェックしておきましょう。

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就労ビザとは?

就労ビザとは日本に就労目的で来る外国人に与える在留資格の総称で、29種類ある在留資格の中で17種類が就労ビザにあたります。

就労ビザの審査が厳しいと聞くことがありますが、入国管理局はどういう基準で判断するのでしょうか?

まず、雇用される外国人に任せる業務内容や、それにふさわしい学歴や職歴を持っているかが重要になります。

外国人の素行も審査の基準に入っているほか、採用する企業の規模や継続性、将来性なども見られます。

審査の基準が正しく把握できればビザの申請もスムーズに進めることができますので、事前に確認しておきましょう。

就労ビザとは「就労のための在留資格」

外国人が日本で働くには「ビザ」が必要と聞いたことあるかもしれませんが、実はその「ビザ」と入国管理局が定義した「ビザ(査証)」の意味が少し違います。

入国管理局の定義だと「ビザ(査証)」というのは、外国人が日本へ上陸可能の証明です。

外国人が日本に来る前に、来日の目的を日本の入国管理局へ提出し、目的に応じて適切な在留資格を「在留資格認定証明書」で付与します。

外国人が証明書をもらったあとに海外にある日本大使館で「ビザ(査証)」を取得して日本に来ます。

一方、世間でよく聞く「ビザ」は外国人の来日目的に応じて与える在留資格ということです。

就労目的の在留資格が「就労ビザ」と言われています。

混乱がないように、この記事では日本への上陸許可書類を「ビザ(査証)」で、在留資格を「ビザ」で表記します。

就労ビザとされる在留資格は17種類あり、職種によって在留資格も異なるのです。

その中でよくみるのは「技術・人文知識・国際業務」、「管理・経営」、「技能」です。

在留資格 説明
外交
外国政府の大使や公使、およびその家族
公用
外国政府の大使館や領事館の職員、およびその家族
教授
大学や専門学校の教授や研究者
芸術
作曲家や小説家など音楽、美術、文学の仕事を従事する者
宗教
不況や宗教活動を行う者
報道
記者やカメラマン
高度専門職
1号:法務省令で決める基準に適合する高度人材
2号:法務法令で決める基準に適合する高度人材
経営・管理
企業の経営者や管理者
法律・会計業務
弁護士や公認会計士
医療
医師や歯科医師や看護師
研究
政府機関や私企業の研究者
教育
教育機関での語学教師
技術・人文知識・国際業務
通訳や技術者や私企業の語学講師など
企業内転勤
日本企業の海外支店から日本への転勤者
介護 介護福祉士
興行
俳優、歌手、スポーツ選手など
技能
外国料理の調理師など、産業上の特殊な分野に熟練した技能を要する業務を従事する者

就労ビザの審査基準:労働者側

就労ビザを取得するためには外国人労働者の経歴への厳格な審査があり、審査の条件に満たないと却下される可能性が高くなります。

また、採用の時は就労ビザの審査が通りそうかの確認をすることをおすすめします。

可能性が低い場合は、内定を出さないほうがいいかもしれません。

なぜなら内定を出しても就労ビザが取れないと勤務ができないからです。

審査基準は3つあります。

1つ目は学歴。

「技能」以外の在留資格だと、基本的には専門学校卒・大卒の学歴が必要です。

また学歴と業務内容が関係しているかも大切でたとえば、大学の教授になりたい場合は博士学位が必要になります。

2つ目は職歴。

業務をするのに充分な経験を持つかどうかで新卒採用以外は、職歴が大事とされています。

特に「技能」の在留資格は重要でたとえばフランス料理の料理人として「技能」の在留資格を申請する場合は、10年ほどの経験が求められることがあります。

3つ目は外国人の素行。

出身国や日本で犯罪を犯したことがあるかはとても重要です。

また、日本に滞在したことある人だと、滞在している期間で在留資格に記載された活動をきちんと実行したかどうかも大切です。

たとえば、留学生だと学校の出席率や成績なども審査されます。

就労ビザの審査基準:企業側

外国人だけではなく企業の審査もあり、以下4つについて審査を行います。

1つ目は企業の規模で、法務省によって4つのカテゴリーがあります。

カテゴリー 区分・所属機関
1
1.日本の証券取引所に上場している企業
2.保険業を営む相互会社
3.日本又は外国の国・地方公共団体
4.独立行政法人
5.特殊法人・認可法人
6.日本の国・地方公共団体認可の公益法人
7.法人税法別表第1に掲げる公共法人
2
前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中,給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1500万円以上ある団体・個人
3
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)
4
上記のいずれにも該当しない団体・個人

簡単に言うと、カテゴリー1は上場企業、カテゴリー2は上場していない大企業、カテゴリー3は中小企業、カテゴリー4は新設企業です。

企業の規模が大きければ大きいほど審査を通りやすくなります。

2つ目は企業の安定性。

決算数字(売上や利益)で運営継続の見込みあるかを判断されます。

また企業の歴史や主要取引先なども審査の対象で企業に将来性があれば、外国人も長く貢献できます。

3つ目は企業の外国人雇用実績。

外国人雇用の経験があると有利ですが、以前に「不法就労助長罪」を犯していると審査を通りにくくなります。

4つ目は外国人の仕事内容。

仕事内容の必要性、また専門性が審査の基準となります。

研究者、教育者、ビジネスマンなどのいわゆるホワイトカラー、もしくは専門職のような熟練技能労働者のみ受け入れ可能です。

ホテルのベッドメイクやレストランの洗い場など、単純労働の業務で申請するとほぼ却下されます。

就労ビザを申請する流れ

就労ビザを申請する流れ

就労ビザの申請手続きは、どこから外国人を雇用するかによって違います。

手続きの種類を間違えるとやり直さなくてはいけないので、さらに時間と手間がかかります。

最短で就労ビザを申請するため、必要な手続きを把握しましょう。

例えば、外国人を海外から呼び寄せる場合はまず、入国管理局から「在留資格認定証明書」をもらいます。

そして、外国人の所在地の日本大使館から「ビザ(査証)」を取得します。

このように審査が2回あるので、半年ほどかかる場合も少なくありません。

すでに日本にいる外国人を雇う場合は、入国管理局へ「在留資格変更許可」を申請すれば完了で結果は2ヶ月以内に来ます。

また、転職する外国人を雇う場合、もし業務内容に変更がなければ、「所属(契約)機関に関する届出」を入国管理局へ提出すれば問題ありません。

それぞれの必要書類、プロセス、時間を解説していきます。

①海外から呼び寄せる場合

雇用が決まった後、書面で雇用契約書を結ぶ必要があります。

雇用契約書を回収する時には外国人の顔写真、卒業証明書、履歴書を提出してもらいましょう。

雇用契約書を含めて、これらの書類は就労ビザを申請する際に入国管理に出さなくてはいけません。

雇用契約書を締結したら入国管理局へ「在留資格認定証明書」(以降「証明書」)の申請に着手できます。

審査は1ヶ月~3ヶ月ほどかかりますが、提出書類の漏れや不備があると審査期間がさらに長くなりますので、事前に必ず確認してください。

証明書が企業に届いたあとは、外国人へ送付しないといけません。

証明書が届いて必要な書類もそろえたら、本人の所在地にある日本大使館へビザ(査証)の申請を行います。

ビザ(査証)の審査は2週間~1ヶ月半ほどかかります。

ビザ(査証)をもらって日本へ来たら、入国の際に入国管理官から「在留カード」をもらいます。

在留カードには外国人の個人情報や在留資格などが記載されており、就労ビザの申請プロセスは在留カードをもらったら完了です。

②日本にいる留学生を雇用する場合

日本にいる留学生を新卒として雇用する場合、就労ビザの手続きは1回のみとなります。

すでに在留カードを持っているので、面接の際に提示してもらう必要があります。

留学生の場合、在留資格は「留学」もしくは「特定活動(就職活動)」です。

内定を出したあとは書面で雇用契約書を締結し、入国管理局で「在留資格変更許可」の申請を行います。

本人が手続きを行うことは可能ですが、手続きが煩雑であるため担当者が同行して申請することがおすすめです。

「在留資格変更許可」の結果はたいだい2週間~1ヶ月くらいでわかります。

審査が通ったら入国管理局へ行って、新しい在留カードをもらわないといけません。

新しい在留カードをもらうと就労ビザの申請手続きが完了となります。

③日本にいる会社から転職してくる場合

日本で働いている外国人が転職者する場合は、その人の業務内容によって手続きが違います。

転職後も仕事内容が変わらない場合、転職前の在留資格のままで働くことができます。

就労ビザを再度申請する必要はなく、転職者が入国管理局へ「所属(契約)機関に関する届出」を提出すれば完了です。

新しい業務は就労ビザに当てはまっているか不安がある場合は、法務省で「就労資格証明書交付申請」を行うことがおすすめです。

しかし転職前と後での業務内容が違う場合は、「在留資格変更許可」を申請する必要があります

仕事内容が変わったので、転職前の在留資格は使えなくなります。

そのため新しい在留資格への切替をしなければなりません。

「在留資格変更許可」の申請方法は、留学生を新卒として採用するのと同じですので、②日本にいる留学生を雇用する場合に参照してください。

勤務開始した後の注意点

勤務開始した後の注意点

就労ビザの取得は外国人を雇う第一歩ですが、そのあとの管理も重要です。

なぜならば、管理不足によって外国人雇用に関する法律に違反してしまうと処罰されてしまう可能性があるからです。

例えば、外国人を雇ったら、ハローワークへ「外国人雇用状況の届出」を提出しないといけません。

もし提出が漏れると最大30万円の罰金が科される可能性があります。

また、外国人を不法就労をさせると最長3年の懲役、最大300万円の罰金が科される可能性があります。

それ以降、外国人を雇用しづらくなるので十分に注意してください。

入社後の手続きを忘れずに

外国人を雇う時、ハローワークへ「外国人雇用状況の届出」を提出する義務があります。

提出の様式は、雇用保険への加入有無によって違い、正社員として雇う場合は、雇用保険に加入しないといけません。

外国人雇用状況の届出について

提出の期限は、入社日の翌月10日までです。

たとえば、1月20日に入社すると、2月10日までに提出しないといけません。

万が一遅れてしまうと1名の雇用につき最大30万円の罰金が科される可能性があるので、気を付けてください。

単純労働はNG

就労ビザの外国人は「単純労働」できません

国の入管政策上、「単純労働」に分類された仕事は2種類あります。

1つ目は、職業訓練を受けていなくてもできる仕事でたとえば、街の中でのチラシ配りやホテルでベッドメイクの仕事です。

2つ目は、政府が定義した「いわゆる単純労働者」が従事する業務です

2019年4月に、「特定技能」という在留資格は新たに設立されました。

「特定技能」の人がメインで行う業務は「いわゆる単純労働」でたとえば、飲食業の店舗で食べ物の調理や接客や店舗管理は「単純労働」に分類されています。

ただし、「単純労働」が許可される可能性もあります。

例えば、飲食業の店舗統括者を育成の一部として、店舗での業務フローやプロセスの理解を深めるため店舗での調理や接客の業務を経験してもらうことはそれにあたります。

本来の業務目的は「店舗統括」になるので一時的に単純労働をすることになります

在留期限の管理が大事

就労ビザは期限ついていて、審査の結果によって「5年、3年、1年または3月」の在留期限を付けます。

在留期限が切れてしまうと外国人が働けなくなります。

もし在留期限を過ぎた後も勤務する場合は、入国管理局で在留期限の更新を行わないといけません。

更新期間は、1ヶ月~2ヶ月ほどかかり、外国人が多く集まっている地域だとさらにかかる可能性があります。

在留期限を過ぎてしまったのに働かせると、「不法就労助長罪」に問われ最長3年の懲役、最大300万の罰金が科される可能性があります。

まとめ

労働力が不足している今、外国人雇用が重要になってきます。

長期で働ける人材を確保するには、就労ビザを持っている正社員を雇ったほうが良いです。

就労ビザを取得するためには、入国管理局に申請が必要です。

採用する外国人の現状と企業の規模によって、提出する書類が変わりますので申請する前にしっかり確認しましょう。

また、就労ビザの申請が通ったあとも、在留期限の管理や提出書類に気を付けましょう。

不法就労させないため、在留カードはコピーして保管することをおすすめします。

また、ハローワークへ「外国人雇用状況の届出」の提出は義務になっているので忘れないようにしましょう。

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