技能実習生の受け入れ方法|受け入れ前の準備と流れ

2023/12/21

近年、メディアでも取り上げられることの多い技能実習制度ですが、技能実習生の数は2022年末に324,940人となっています。

では技能実習制度とは、どのような制度がご存知でしょうか?

技能実習制度は、発展途上国の外国人が最長5年間で日本の技術を学び、母国で経済発展に役立てる目的で制定されました。

そのため、労働力を補うための人員ではないことが大前提となります。

技能実習生の受け入れ方法は「企業単独型」と「団体監理型」がありますが、ほとんどは団体監理型です。

この記事ではどのように技能実習生を受け入れることができるのか、またそのために必要な事前知識をまとめました。

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技能実習生とは

技能実習生とは、技能実習制度を通して来日した人です。

発展途国の外国人が日本で技術を学び、帰国後母国で経済発展に役立てる目的で日本に来ます。

技能実習の期間は5年と決まっており、受け入れられる業種も限られています。

受け入れ前に、技能実習生に関する制度を確認しましょう。

技能実習制度

技能実習制度は開発途上国を支援するために設立された制度で、日本で技能や技術を学び、帰国後母国に貢献することを目的とします。

そのため、技能実習生として日本に居られる期間は通算最長5年となります。

実習をしている間、技術を学ぶための就労が認められますが、労働力を補足するための制度ではありません。

発展途上国を支援する制度なので、アメリカや韓国などの先進国の人を技能実習生として受け入れません。

日本と技能実習に関する協議をしている14の発展途上国のみ、技能実習生として受け入れられます。

技能実習法

技能実習法は、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」の略称です。

技能実習の適正な実施と技能実習生の保護を目的として2017年11月に施行されました。

技能実習法では、外国人の技能実習に関して技能実習計画の認定や監理団体の許可の制度について規定しています。

また、先述の「技能実習制度」の詳細も決められています。

技能実習生の種類

技能実習生は1号、2号、3号の3種類にわけることができます。

「技能実習1号」は、1年目の技能実習生で最初の2ヶ月間は座学研修を受けないといけません。

また、研修期間中は受け入れ企業と技能実習生との間には雇用関係ありません。

研修期間が終わったあと、受け入れ企業で技能実習を行うことができます。

「技能実習1号」を修了したあと、外国人が「技能実習2号」に移行できます。

移行するためには、技能評価試験の合格が必要で、受け入れ期間は2年となります。

「技能実習2号」が修了したあとは、帰国するか「技能実習3号」に移行するかを選択できます。

移行するには技能実習生が技能評価試験に合格するほか、企業が優良な実習実施者と認定される必要があります。

一部職種においては「技能実習3号」を設けていないので、注意してください。

技能実習生の職種

技能実習法により、技能実習生を受け入れられる産業分野と職種が決められています。

2023年7月時点では、次の8分野の88職種の161作業に「技能実習」を設けています。

  1. 農業関係(2職種6作業)
  2. 漁業関係(2職種10作業)
  3. 建設関係(22職種33作業)
  4. 食品製造関係(11職種18作業)
  5. 繊維・衣服関係(13職種22作業)
  6. 機械・金属関係(16職種31作業)
  7. その他(20職種37作業)
  8. 社内検定型の職種・作業(2職種4作業)

88職種の中の80職種の144作業において「技能実習3号」を設置しています。

技能実習制度 移行対象職種・作業一覧

技能実習生を受け入れる前に

技能実習生を雇用しようとする場合、どのように募集をするかご存知でしょうか?

実は、日本の監理団体を利用する場合がほとんどです。

また海外の送出機関では、技能実習を募集して日本の企業とニーズが合った場合に監理団体へ引き渡します。

このように、組織や制度がきちんと決まっており、それぞれ役割を果たしながら技能実習生の受け入れを可能にしています。

監理団体

監理団体とは、技能実習生の生活を支援する機関です。

主な役割は、受け入れ企業が作成した技能実習計画の審査、計画の実施についての監理、必要な場合は指導の実施等です。

日本には約2,900もの監理団体があり、特定監理事業と一般監理事業の2つの監理団体があります。

特定監理事業は1号と2号の技能実習生のみ監理できますが、一般監理事業は優良とされておりすべての技能実習生を監理できます。

送出機関

送出機関とは、技能実習生の母国にあり技能実習生を日本の監理団体に取り次ぐ機関です。

また、来日前に日本語の教育や研修などの実施を兼任している送出機関があります。

2020年5月以降、ベトナム、フィリピン、インドネシアを含めた14ヶ国の外国人を技能実習生として受け入れるには、送出機関を通すことが必要です。

技能実習計画

技能実習を実施する機関が技能実習生ごとに作成するもので、技能実習計画が適切かを外国人技能実習機構による認定が必要です

また、監理団体から実習生を受け入れる場合は監理団体から指導を受ける必要があります。

技能実習計画には、実習の目的や報酬・労働時間などの待遇の記載が必要ですが、そのほかにも必要な書類がたくさんあるので、申請前に確認しましょう。

養成講習の受講

技能実習生の受け入れ企業では、技能実習を行わせる事業所ごとに「技能実習責任者」を選任する必要があります。

その責任者が3年ごとに「養成講習機関」によって実施される養成講習を受講しなければなりません。

また、3号技能実習生を受け入れたい場合は、技能実習生の実習と生活を指導する事業所の職員が養成講習を受講することをおすすめします。

技能実習責任者の養成講習の実施機関は2023年4月現在、次の通りです。

番号 養成講習機関名 対象エリア
1 株式会社オファーズ
関東エリア、中部・北陸エリア
2 公益社団法人全国労働基準関係団体連合会 全国
3 公益財団法人国際研修協力機構 全国
5 株式会社ウェルネット 全国
6 一般社団法人関西環境開発センター 近畿エリア
7 株式会社PMC 全国
8 特定非営利活動法人ビザサポートセンター広島
中国エリア、四国エリア
9 特定非営利活動法人グローバルライフサポートセンター 九州エリア
10 株式会社事業創造コンサルティング
関東エリア、中部・北陸エリア
11 株式会社アプエンテ 全国

技能実習生の労働条件の確保

技能実習生を受け入れても労働基準法や労働安全衛生法など、労働に関する法律に遵守しないといけません。

入国管理局によれば、2016年に技能実習生を受け入れる機関における労働基準関係法令違反事件は4,004件ありました。

その中でも、労働時間、安全基準、割増賃金の支払いに関する事案が多くなっています

労働基準関係法に違反すると、相応した罰が科されるだけでなく、今後技能実習生を受け入れにくくなる可能性が高くなります。

技能実習生の受け入れ方式と流れ

技能実習生の受け入れ方式と流れ

技能実習生を受け入れる方式は「企業単独型」と「団体監理型」の2つあります。

それぞれの上限人数が異なるほか、企業単独型を導入したい場合、技能実習生を送り出す海外の法人側が売上規模や国際取引実績などの基準に満たさないといけません。

受け入れ方法

技能実習生を受け入れる方法は、企業単独型と団体監理型の2つがあります。

団体管理型が一般的な受け入れの方法とされており、全体の97%が利用しています。

企業単独型

企業単独型とは、日本の企業が海外の現地法人、合併企業や取引先企業の常勤職員を受け入れて技能実習を実施する方式です。

企業単独型を利用するには、海外の企業が以下の要件に満たす必要があります。

  • 日本の企業と、過去1年以内に10億円以上の国際取引実績のある取引先企業
  • 日本の企業と、1年以上の国際取引実績のある取引先企業
  • 日本と国際的な業務提携を行っており、法務大臣と厚生労働省が認めているもの

団体監理型

団体監理型とは、営利を目的としない事業協同組合の中小企業団体や商工会議所や商工会などが監理団体として技能実習生を受け入れ、加盟している企業が実務研修や技能実習を実施する方法です。

団体監理型で受け入れられる技能実習生の上限は常勤職員の合計数によって変わります。

受け入れ人数の上限

受け入れ方式によって、人数の上限が異なります。

企業単独型の場合、技能実習生の種類によって、受け入れ上限が異なります。

  一般の実習実施者 優良な実習実施者
  1号技能実習生 2号技能実習生 1号技能実習生 2号技能実習生 3号技能実習生
受け入れ人数上限 常勤職員総数の20分の1 常勤職員総数の10分の1 常勤職員総数の10分の1 常勤職員総数の5分の1
常勤職員総数の10分の3

団体監理型の場合、受け入れ人数の上限は以下の通り決められています。

  一般の実習実施者 優良な実習実施者
常勤職員合計数 1号技能実習生 2号技能実習生 1号技能実習生 2号技能実習生 3号技能実習生
30人以下 3人 6人 6人 12人 18人
31~40人 4人 8人 8人 16人 24人
41~50人 5人 10人 10人 20人 30人
51~100人 6人 12人 12人 24人 36人
101~200人 10人 20人 20人 40人 60人
201~300人 15人 30人 30人 60人 90人
常勤職員合計数 常勤職員総数の20分の1 常勤職員総数の10分の1 常勤職員総数の10分の1 常勤職員総数の5分の1
常勤職員総数の10分の3

技能実習生を受け入れる流れ

一般的な団体監理型による技能実習生の受け入れの流れを解説します。

  1. 海外の送出機関に候補者の選定を依頼する。
  2. 技能実習計画を作成し提出する。
  3. 技能実習計画が認定されたら、在留資格認定証明書の交付申請をする。
  4. 在留資格認定証明書を入手し、ビザ(査証)を申請する。
  5. ビザ(査証)取得後、実習生が入国。

無事に入国できたあとは、約2ヶ月間の日本語や生活・専門知識についての研修が始まります。

それを終えると、技能実習のスタートです。

まとめ

技能実習制度とは、開発途上国を支援するための制度です。

技能実習生は最長5年の実習期間を終えたら帰国し、母国で経済発展に役立てます。

技能実習制度を導入している産業分野と職種が限られているので、技能実習生を受け入れる前にしっかりと確認しないといけません。

技能実習生を受け入れるには「企業単独型」と「団体監理型」の2つの方法がありますが、全体の約97%の企業は団体監理型を利用しています。

技能実習生を受け入れるために流れを確認しておきましょう。

  1. 海外の送出機関に候補者の選定を依頼する。
  2. 技能実習計画を作成し提出する。
  3. 技能実習計画が認定されたら、在留資格認定証明書の交付申請をする。
  4. 在留資格認定証明書を入手し、ビザ(査証)を申請する。
  5. ビザ(査証)取得後、実習生が入国。

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