宿泊業(ホテル・旅館)で雇用できる外国人の在留資格まとめ

2023/12/21

観光庁は、2030年の訪日観光客の目標を6,000万人に設定しました。

それを達成するためには8.5万人の外国人労働者が必要なため、2020年から2030年までの10年の間に宿泊業で勤務する外国人の数が3.6倍も増加すると見込まれています。

ホテルでの業務内容によって雇用できる在留資格が異なるので、注意しなければなりません。

たとえば、ホテルの通訳やフロントとして外国人を雇う場合、「技術・人文知識・国際業務」という就労ビザの1つと言われている在留資格が必要となります。

また、宿泊業での業務を全般的に対応できる人材を受け入れるため、2019年4月に「特定技能」という在留資格が新たに設立されました。

それにより、宿泊業における一定程度の技能・知識を有して即戦力として働ける外国人の受け入れが可能となりました。

この記事では、宿泊業で雇用できる在留資格に関して、まとめて説明します。

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在留資格とは

在留資格とは、外国人が日本で滞在できる証明で、来日目的を国に提出して審査をします。

それに基づいて適切な在留資格が付与されますが、資格によって日本でできる活動が異なります。

宿泊業で就労できる在留資格は4種類あり、就労ビザの1つである「技術・人文知識・国際業務」のほか、「特定技能」、身分系の在留資格、「資格外活動許可」です。

宿泊業での「技術・人文知識・国際業務」

日本もしくは外国の大学・専門学校を卒業しており、宿泊業と関連する学歴、もしくは、宿泊業で正社員として10年以上の勤務経験を有する外国人は「技術・人文知識・国際業務」の申請ができます。

「技術・人文知識」の業務は、「日本の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務」と定義されています。

ホテルの場合、インバウンドマーケティングや外国人スタッフの人事労務管理などが該当します。

「国際業務」の業務は「外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務」です。

たとえば、通訳や翻訳の業務がそれにあたります。

「技術・人文知識・国際業務」の審査基準

審査基準は3つあり従事する業務内容、学歴や職歴、雇用の報酬です。

それぞれを満たさないと申請が却下される可能性があるので、すべて確認しましょう。

業務内容

業務内容は、フロント業務とオフィスワーク業務の2種類あり、フロント業務は「外国人の対応が必要」という前提です。

もし、宿泊客がほとんど日本人の場合は、外国人対応の必要性が低いと判断される可能性があります。

また、対応言語との関連も大切で宿泊客と同じ言語を話せる必要があります。

オフィスワーク業務は、経理や営業などの業務を従事することが可能です。

注意すべき点としては、レストランの配膳やベットメイキングなどの業務は単純労働と見られるので従事できません。

学歴・職歴

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得するためには、日本もしくは海外の大学・専門学校を卒業していること、そして従事する業務内容との関連性のある教育を受けている必要があります。

学歴がない場合は、10年以上の職歴が必要です。

報酬

「外国人だから安く雇用する」というのは法律上禁止されています。

外国人を雇っても、同じ仕事をしている日本人と同等以上の報酬を受けないといけません。

宿泊業での「技術・人文知識・国際業務」の許可例と不許可例

入国管理局が2017年12月に公表した事例を見てみましょう。

許可事例

  • 日本においての観光学科を卒業した者が、外国人観光客が多く利用する日本のホテルとの契約に基づき、月額約22万円の報酬を受けて、外国語を用いたフロント業務、外国人観光客担当としてのホテル内の施設案内業務等に従事するもの
  • 日本において大学を卒業した者が、日本からの観光客が多く利用する日本の旅館との契約に基づき、月額約20万円の報酬を受けて、集客拡大のための日本旅行会社との交渉に当たっての通訳・翻訳業務、従業員に対する外国語指導の業務等に従事するもの
  • 日本において経済学を専攻して大学を卒業した者が、日本の空港に隣接するホテルとの契約に基づき、月額約25万円の報酬を受けて、集客拡大のためのマーケティングリサーチ、外国人観光客向けの宣伝媒体(ホームページなど)作成などの広報業務等に従事するもの
  • 日本において経営学を専攻して大学を卒業した者が、外国人観光客が多く利用する日本のホテルとの契約に基づき総合職(幹部候補生)として採用された後、2か月間の座学を中心とした研修及び4か月間のフロントやレストランでの接客研修を経て、月額約30万円の報酬を受けて、外国語を用いたフロント業務、外国人観光客からの要望対応、宿泊プランの企画立案業務等に従事するもの
  • 日本の専門学校において日本語の翻訳・通訳コースを専攻して卒業し、専門士の称号を付与された者が、外国人観光客が多く利用する日本の旅館において月額約20万円の報酬を受けて、フロントでの外国語を用いた案内、外国語版ホームペ-ジの作成、館内案内の多言語表示への対応のための翻訳等の業務等に従事するもの
  • 日本の専門学校においてホテルサービスやビジネス実務を専攻し、専門士の称号を付与された者が、宿泊客の多くを外国人が占めているホテルにおいて、修得した知識を活かしてのフロント業務や、宿泊プランの企画立案等の業務に従事するもの
  • 海外のホテル・レストランにおいてマネジメント業務に10年間従事していた者が、国際的に知名度の高い日本のホテルとの契約に基づき、月額60万円の報酬を受けてレストランのコンセプトデザイン、宣伝・広報に係る業務に従事するもの

不許可事例

  • 日本で経済学を専攻して大学を卒業した者が、日本のホテルに採用されるとして申請があったが、従事する予定の業務に係る詳細な資料の提出を求めたところ、主たる4業務が宿泊客の荷物の運搬及び客室の清掃業務であり、「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事するものとは認められず不許可となったもの

   ➡不許可理由:主な業務は単純労働であるため

  • 日本で日本語学を専攻して大学を卒業した者が、日本の旅館において、外国人宿泊客の通訳業務を行うとして申請があったが、当該旅館の外国人宿泊客の大半が使用する言語は申請人の母国語と異なっており、申請人が母国語を用いて行う業務に十分な業務量があるとは認められないことから不許可となったもの

   ➡不許可理由:外国人労働者の必要性が不十分のため

  • 日本で商学を専攻して大学を卒業した者が、新規に設立された日本のホテルに採用されるとして申請があったが、 従事しようとする業務の内容が、駐車誘導、レストランにおける料理の配膳・片付けであったことから、「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事するものとは認められず不許可となったもの

   ➡不許可理由:主な業務は単純労働であるため

  • 日本で法学を専攻して大学を卒業した者が、日本の旅館との契約に基づき月額約15万円の報酬を受けて、フロントでの外国語を用いた予約対応や外国人宿泊客の館内案内等の業務を行うとして申請があったが、申請人と同時期に採用され、同種の業務を行う日本人従業員の報酬が月額約20万円であることが判明し、額が異なることについて合理的な理由も認められなかったことから、報酬について日本人が従事する場合と同等額以上と認められず不許可となったもの

   ➡不許可理由:外国人の報酬が日本人のより低いため

  • 日本の専門学校において服飾デザイン学科を卒業し、専門士の称号を付与された者が、日本の旅館との契約に基づき、フロントでの受付業務を行うとして申請があったが、専門学校における専攻科目と従事しようとする業務との間に関連性が認められないことから不許可となったもの

   ➡不許可理由:外国人の学歴・職歴と業務内容の関連が不十分のため

  • 日本の専門学校においてホテルサービスやビジネス実務等を専攻し、専門士の称号を付与された者が、日本のホテルとの契約に基づき、フロント業務を行うとして申請があったが、提出された資料から採用後最初の2年間は実務研修として専らレストランでの配膳や客室の清掃に従事する予定であることが判明したところ、これらの「技術・人文知識・国際業務」の在留資格には該当しない業務が在留期間の大半を占めることとなるため不許可となったもの

   ➡不許可理由:在留期限のうち大半の業務は単純労働であるため

宿泊業での「特定技能」

宿泊業の人手不足を解消するため2019年4月に「特定技能」が創設されました。

特定技能1号と特定技能2号の2種類ありますが、宿泊業で雇用できるのは特定技能1号です。

特定技能でできる業務内容は幅広く、宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客およびレストランサービスなどに従事できます。

あわせて、これらの関連業務、例えば館内販売や清掃、に従事することも可能です。

特定技能を取得するため2つ条件を満たす必要があります。

ひとつは特定技能評価試験に合格することで、もうひとつは日本語能力試験のN4以上を取得することです。

くわしくはこちらの記事:宿泊業(ホテル・旅館)の特定技能外国人雇用

身分系の在留資格

身分に基づいて取得できる在留資格のことを指し、「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の4つが対象です。

業務内容や就労時間に制限がないので、正社員としてもアルバイトとしても勤務可能です。

またレストランでの配膳やベッドメイクなどの単純労働もできます。

それぞれの在留資格の定義は以下となります。

  • 永住者:法務大臣から永住の許可を受けた者
  • 日本人の配偶者等:日本人の配偶者・子・特別養子
  • 永住者の配偶者等:永住者・特別永住者の配偶者及び日本で出生し引き続き在留している子
  • 定住者:第三国定住難民、日系3世、中国残留邦人等日本において有する身分又は地位

「資格外活動許可」

原則的には、在留資格で許可された活動しかできません。

たとえば、留学生は勉強を目的としているため就労はできません。

ただし例外として、「資格外活動許可」を取得できれば1週間に28時間まで就労を認められます。

「資格外活動許可」があれば、配膳やベットメイクなどの単純労働も可能です。

しかし、在留資格の活動を影響しない前提ですので、1週間の労働時間は28時間と決められています。

まとめ

宿泊業で外国人を雇用する場合は、 「技術・人文知識・国際業務」、「特定技能」、身分系の在留資格、「資格外活動許可」の4つの在留資格 のどれかに当てはまっていないといけません。

それぞれの業務内容や就労時間の制限などが異なるので、必ず確認しましょう。

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