不法就労助長罪とは?知らなかったとしても処罰対象!防ぐ対策を徹底解説

2023/12/21

知らないだけで済まない!不法就労助長罪を知りましょう

「不法就労助長罪」のリスクは、外国人雇用における大きなリスクのひとつです。

この罪に問われると罰金や懲役が科されるうえ、事業の存続に影響を与える可能性もあります。

「知らなかった」では、この不法就労助長罪から免じられることはありません

そのため、外国人を雇用する前にしっかりとこの罪を認識し適切な対策で未然に防ぐことが大事です。

この記事では、実際の検挙事例を含めて不法就労助長罪にあたる3つのケースを解説します。

また、不法就労助長罪にならないための対策も紹介していきます。

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不法就労助長罪となるケース3つ

不法就労とは、日本で働いてはいけない人が就労してしまうことを指します。

不法就労の外国人を雇用した、もしくは仕事をあっせんした場合、不法就労助長に該当し罪に問われる可能性があります

不法就労となるケースは入管法により規定されています。

入管法とは「出入国管理及び難民認定法」の略称で、すべての人の日本への出入国、日本に滞在する外国人の在留資格、難民についてなどが決められている法律です。

ここでは不法就労となる主なケース3つを紹介します。

ケース①:不法滞在の人を働かせてしまうケース

不法滞在の人というのは、密入国や決められた期間よりも長く滞在した外国人のことを指します

本来日本に居てはならない人なので、働くことももちろんできません。

彼らを雇用してしまうと不法就労助長に当てはまります。

また、退去強制が命じられた外国人を働かせた場合もこのケースに該当します。

ケース②:就労不可の人を働かせてしまうケース

就労許可を得ていないにもかかわらず働いてしまうと、不法就労になります

例えば、「短期滞在」として日本に滞在する観光客や親族・知人訪問する外国人です。

また、留学生や家族滞在者など、就労目的でない中長期滞在の外国人もこちらにあたります。

彼らを雇用してしまうと、不法就労助長罪に問われる可能性があります。

ケース③:就労制限以外の仕事をさせてしまうケース

就労許可があったとしてもすべての仕事に就くことができるわけではありません

就労ビザや「特定技能」の外国人が対象で、ビザを申請する際に職務内容や勤める機関を国に提出しているため、それ以外の仕事に従事することはできません。

就労時間に制限がある外国人もいるため、制限を超えて働かせた場合も不法就労助長になります。

不法就労助長罪の罰則:懲役の可能性もあり

「不法就労助長罪」に問われ、最長3年の懲役、最大300万円の罰金が科される可能性があります。

外国人に不法就労をさせた場合、企業が不法就労助長罪に問われます。

不法就労助長罪に問われると、最長3年の懲役と最大300万円の罰金が科される可能性があります

ここで注意してほしいのは、経営者だけでなく、不法就労外国人を実際に雇用した店舗責任者や人事責任者も不法就労助長罪から逃れられません。

また、不法就労外国人に仕事をあっせんしたり、手伝ったりすることも不法就労助長となります。

業務発注も不法就労助長となる恐れ

最近、直接雇用でなく、フリーランスやパラレルワーカーを活用し、外部人材を活用するという雇用の形が多くなっております。

たとえば、アプリの配達サービスやネットのフリーランスプラットフォームでの雇用です。

ただ、このような業務発注の形でも、不法就労助長罪にあたるリスクがあります。

知らず知らずに不法就労の外国人に業務発注してしまった場合、「仕事をあっせんした」に該当し、不法就労者助長罪に問われます

そうならないためにも、業務発注する前に外国人の在留カードをしっかりと確認するのをおすすめします。

不法就労助長罪の実際検挙事例を見てみよう

不法就労助長罪の検挙事例を紹介します。

不法就労事件は年々増加傾向にあります。出入国在留管理庁に統計によると、2021年度の不法就労事件数が6,355件となっています。

令和4年における入管法違反事件について

ここでは、不法就労助長罪の検挙事例を見ていきましょう。

不法就労助長罪の検挙事例

ここでは、警視庁が公表していた不法就労助長罪の事例を4つと、それぞれ不法就労助長となるポイントを解説します。

【2020年11月】人材派遣会社社員らによる入管法違反(不法就労助長)事件

人材派遣会社社員の日本人の男らは、令和元年7月から令和2年10月にかけて、「技能実習」等の在留資格で入国したベトナム人の男女らを水産加工会社に派遣し、働かせていた。令和2年11月までに、ベトナム人の男女らを雇用していた日本人の男5人を入管法違反(不法就労助長)で、ベトナム人が作業員として働くことを知りながら日本人の男らにあっせんしたベトナム人の男1人(不法残留)を入管法違反(不法残留、不法就労あっせん)で、作業員として働いていたベトナム人の男女5人(不法残留)を入管法違反(旅券不携帯、不法残留)で逮捕した。

警察庁組織犯罪対策部≪令和2年における組織犯罪の情勢≫より引用

在留期限が切れた不法残留の外国人を働かせたため、不法就労助長のケース①に該当します

【2019年8月】飲食店経営者らによる入管法違反(不法就労助長)事件

飲食店経営の日本人の男らは、令和元年7月、「興業」の在留資格で入国したフィリピン人の女らをホステスとして働かせていた。同年8月までに、フィリピン人の女らを雇用していた日本人の男4人を入管法違反(不法就労助長)及び風営適正化法違反(無許可営業、名義貸し)で、ホステスとして働いていたフィリピン人の女3人(興業)を入管法違反(資格外活動)で逮捕した。

警察庁組織犯罪対策部≪令和1年における組織犯罪の情勢≫より引用

在留資格「興業」の外国人は、芸能活動や演劇・演奏などの就労活動しか従事できません。

ホステスの業務内容は「興業」の就労範囲以外であるので、不法就労助長の「ケース③:就労制限以外の仕事をさせてしまうケース」に該当します

【2019年9月】電気設備会社経営者による入管法違反(不法就労助長)事件

電気設備会社経営の日本人の男は、令和元年5月から同年9月にかけて、「短期滞在」の在留資格で入国した中国人の男らを電気工事作業員として働かせていた。同年9月までに、中国人の男らを雇用していた日本人の男1人を入管法違反(不法就労助長)で、作業員として働いていた中国人 の男6人(不法残留)を入管法違反(不法残留、資格外活動)で逮捕した。

警察庁組織犯罪対策部≪令和1年における組織犯罪の情勢≫より引用

「短期滞在」の在留資格を所持している外国人は、原則日本で就労できません

働かせた場合、不法就労助長の「ケース②:就労不可の人を働かせてしまうケース」にあたります。

【2020年11月】日本語学校経営者らによる入管法違反(不法就労助長)事件

日本語学校経営の日本人の男らは、平成31年4月から令和元年6月にかけて、「留学」の在留資格で入国したベトナム人の男らを、就労可能時間を超えて自らが経営する産業廃棄物処理場等で働かせていた。令和元年11月までに、ベトナム人の男らを雇用していた日本人の男女5人を入管法違反(不法就労助長)で、作業員として働いていたベトナム人の男2人(留学)を入管法違反(無許可活動)で逮捕した。

警察庁組織犯罪対策部≪令和1年における組織犯罪の情勢≫より引用

就労目的で来日したわけでないため、資格外活動許可を申請しない限り留学生は就労不可となります。

許可のない留学生を雇ってしまった場合、「ケース②:就労不可の人を働かせてしまうケース」に該当し、不法就労助長罪に問われます

また、資格外活動許可を取得したとしても1週間に28時間しか働けません。

時間制限を超えてしまった場合、不法就労助長の「ケース③:就労制限以外の仕事をさせてしまうケース」にあたります

派遣会社の場合、派遣事業許可取り消し処分もあり得る

派遣会社が不法就労者を雇用した場合、不法就労助長罪に問われるほか、派遣事業の許可も取り消される可能性があります。

厚生労働省によると、2017年11月から2020年12月の約3年の間で、入管法違反を理由に派遣事業許可取り消し処分が科されたのは19件となっております。

派遣事業許可の取り消しによって、事業の存続にも影響を与えるため、不法就労外国人を雇用しないように対策するのは重要でしょう。

不法就労助長により派遣許可が取り消された事例。
不法就労助長により派遣事業許可が取り消された事例。厚生労働省HPより引用

不法就労助長罪にならないための3つの施策

不法就労助長罪にならないための3つの対策を解説します。

不法就労助長罪にならないために、企業がしっかりと対策しないといけません。

ここでは、在留カードと在留資格の確認や在留期間の管理対策について詳しく説明していきます。

在留カードの有効性を徹底的に確認

外国人を採用する前に、彼らの身分証明書である在留カードをまず確認してください。

名前、国籍、生年月日などの基本情報の確認はもちろんですが、そもそも在留カードが本物かどうかもきちんとチェックしないといけません。

実は近年、在留カードを偽造・販売するという事例が増えており、偽造在留カードが利用されることは、決して珍しくありません。

偽造在留カードを見抜けずに外国人を雇用してしまった場合、残念ながら不法就労助長罪になります。

そうならないために、在留カードの有効性を、法務省の照会サイトやチェッカーアプリなどを用いて確認することがおすすめです。

在留資格と資格外活動許可を確認

在留カードが本物であることがわかったあとに、外国人の在留資格を確認しましょう。

在留資格によって就労可能かどうかが変わってきます

くわしくはこちらの記事:【決定版】在留資格一覧表|全29種類と就労可否まとめ

「留学」や「家族滞在」の外国人の場合、資格外活動許可の確認も必須で、許可がなければ雇ってはいけません。

資格外活動許可は在留カードの裏面やパスポートにて確認できます。

くわしくはこちらの記事:資格外活動許可とは? | 留学生雇用の注意点 

在留期限をしっかり管理

在留カードには有効期限があり、その期限は「在留期限」といいます。

在留期限が切れた外国人を働かせてしまうと不法就労助長にあたるので、その期限の管理が必要です

在留期限のあとも継続して外国人を雇用したい場合、更新された在留カードの提出を求めてください。

くわしくはこちらの記事:在留カード更新はいつ?|必要書類とタイミングを解説

まとめ

外国人雇用において「不法就労助長罪」のリスクをしっかりと防がないといけません。

在留期限が切れたり、就労許可がなかったりする不法就労者を働かせた場合、企業が不法就労助長罪に問われ、最長3年の懲役、最大300万円の罰金が科される可能性があるからです。

不法就労助長罪にならないために、在留カードと在留資格の確認や在留期限の管理などをしっかり行いましょう。

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外国人雇用を検討していても、在留資格や制度や手続き・受け入れ環境の整備など、わからないことが多くて不安という方が多いのではないでしょうか。

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